相続の開始から相続税の申告、相続登記などの流れ
1.相続の開始
被相続人がお亡くなりになった日が相続開始日となります。
① 相続税の申告について
相続税の申告(納付)が必要な場合、その期限は「自己において相続の開始を知った日から10カ月以内」です。
自己において、とは、簡単に言えば「自分が相続人である場合」と言う意味であり、知った日とは「亡くなったことを知った日」となります。
ほとんどの相続の案件では、亡くなった日=相続開始を知った日となっていますので(ごく稀に例外あり)、その場合は例えば
-
- 令和5年7月1日(土)死亡 = 相続開始日
- 令和6年5月1日(水)= 相続税の申告と納税の期限
となります。
(注:申告期限日が土日祝日である場合は、その後のもっとも近い平日が期限日となります。)
② 相続の放棄または限定承認について
相続開始後に、その相続について
- 放棄
- 限定承認
のいずれかを行いたい場合は、相続開始日から「3カ月以内」に「家庭裁判所に申述」することが必要です。
3カ月以内にどちらも行わない場合は、「単純承認した」、とみなされます。
単純承認とは、財産も債務(借入金など)も相続人が全て引き継ぐ、ということです。
③ 準確定申告について
被相続人に一定の所得がある場合は、亡くなった年の1月1日から相続開始日までの所得について「所得税の準確定申告」が必要となります。その期限は「4カ月以内」です。
④ ご相談について
お通夜やお葬式、49日法要、納骨などが終わりひとまず一段落したら、早めにご相談されることをお勧めいたします。相談相手は
- 知り合いの司法書士さん
- 知り合いの税理士さん
- 知り合いの弁護士さん
などできれば「士業」の方が望ましいのですが、知り合いの士業がいない、という場合は、ぜひ一度当法人にご相談ください。申告の必要かあるどうか、とか、今後の手続きなどについて分からなくても結構です。
どうぞお気軽にお問合せください(初回ご相談は無料です)。
なお、上に挙げた士業ではない一般の友人、知人や親戚、他の業種のかたにご相談されるのは、基本的にお勧めしません。
なぜならば、相談を受けた人が結構テキトーでいいかげんなことをいう、という事例が意外にあるからです。
2.お通夜、お葬式
葬式費用の領収書は全て保管しておいてください。
お寺やお手伝いの方に払った額は、領収書がなくても、メモを残しておいてください。
遠方から親戚を招いた場合の旅費や宿泊代も領収書やメモをとっておいてください。
3.市区町村での各種手続き・年金、社会保険等の手続き
お亡くなりになった旨を伝えて必要な手続きを行ってください。
後日、市区町村や年金事務所、社会保険事務所などから各種精算金が入金される場合があるので、その通知書は全て取っておいてください。
4.入院費用、介護費用の精算
お亡くなりになった後に入院代や介護費用の最後の支払いを行う場合がありますので、それらの領収書もとっておいてください。
5.生命保険金の請求
被相続人が被保険者となっていた生命保険契約があれば、保険金の請求を行ってください。
受取人は予め指定されている場合がほとんどだと思いますので、その方が請求してください。
後日保険金が振り込まれるので、その通知書や入金された口座の通帳などを保管しておいてください。
6.戸籍一式の取得、除住民票の取得
- 被相続人の除籍の謄本を取得してください。
- 被相続人が生まれてから除籍の謄本の直前の謄本まで全部繋がっている戸籍(改正原戸籍といいます)一式を取得してください。改正原戸籍の取得が面倒な場合は、司法書士さんに取得を依頼することもできます。
- 最後の住所地を証明するため、除住民票を取得してください。
7.遺言書の有無とその種類を確認
遺言書の有無、有る場合はその種類を確認してください。
- 公正証書遺言がある場合
公証人役場に原本が保管されており、その謄本を取得することができます。 - 自筆証書遺言がある場合
封筒に入っているはずなので、「封を切らずに」、家庭裁判所で「検認」の手続きをとってください。
8.申告の相談
大体以上まで終わっていれば
- 相続税の申告が必要か否か?
- 相続税がかかるか、かからないか
などのざっくりした判定ができますし、相続税のざっくりした額も分かる場合があります。
当法人では、初回ご相談の際に、財産の概要を伺いますので - 所有不動産が分かる資料(固定資産税の通知書、納付書など)
- 預貯金の通帳(ひとまず保管してある分すべて)
- 有価証券(上場株式、投資信託など)がある場合、それが分かる資料
- 借入金がある場合、それが分かる資料
- 生命保険がある場合、それが分かる資料
- 非上場株式(経営している会社の株式)がある場合、その会社の申告書一式
- 葬式費用の領収書など
- 過去に贈与を受けたことがあれば、それが分かる資料
などをお持ちください。
初回ご相談時点で全て揃っていなくても大丈夫です。
無い場合はヒアリングで概要を伺います。
資料として③と④くらいしか無い状態でのご相談でも全然かまいません。
タイミングとして早い分には全く問題ありませんので、お気軽にお問合せください。
9.必要な書類の収集
相続税の申告が必要な場合はもちろん、必要ではない場合でも、一定の書類を集める必要があります。必要書類一覧をご用意しておりますので、初回ご相談の際にそのご説明をいたします。
10.財産、債務等の調査と確認
申告が必要な場合は、財産の漏れがないように、お客様で集めていただいた資料の他に、当法人で不動産の謄本や地積測量図など別途資料を集めます。
11.財産の評価
申告が必要な場合は、財産の評価(相続税評価といいます)を当法人で行います。
その際、不動産は特に高価な財産なので、所在地の役所で評価に必要な資料の収集やヒアリングを行います。また現地確認も実施します。
12.相続税の総額(概算)のお知らせ
財産評価が終わったら、相続税の総額がほぼ固まりますので、そのお知らせをいたします。
13.遺産分割協議と、協議書の作成
遺言書が無い場合、または遺言書はあるけれどそれによらずに財産を分けたいという場合は、どの財産を誰が相続するのかについて、話し合いをして決めていただく必要があります。
これを「遺産分割協議」といいます。協議の結果は書面にします。これを「遺産分割協議書」といます。
協議は相続人全員で話し合いをしてまとめてください。協議書の作成は、司法書士さんに依頼することもできます(不動産の登記を依頼するのであれば、協議書作成から依頼したほうが、司法書士さんとしても効率が良いです)。
なお、遺産分割協議書には「自署」及び「実印の押印」が必須です。実印が無いという場合は、予め実印として使う印鑑を市区町村にて「印鑑登録」しておく必要があります。
14.相続税額の確定と相続税の申告書、納付書の作成
遺産分割協議が整ったら、各相続人別の相続税額が確定します(小規模宅地等の特例の適用の可否は、この段階で確定します)。したがって、相続税の申告書と納付書を作成することができます。
申告書には押印(認印で大丈夫です)が必要となります。
当法人からお客様に対して、作成した申告書の簡単なご説明を行い、納付書をお渡しします。
15.申告書の提出、相続税の納付
相続開始日から10カ月以内が申告及び納付の期限です。
管轄する税務署へは当法人から直接、申告書を提出します(持参または郵送にて)。
相続税の納付は、お客様が、ご自身の口座がある金融機関の窓口にて、納付書を行員さんに渡して、口座から直接払ってもらえるように指示してください。期限は厳守してください。
16.申告書の控えのお渡し、報酬のご請求
申告書の控えが税務署から返ってきたら、お客様用の「申告書の控え」を納品いたします(直接手渡し、もしくは郵送にて)。その際に、報酬のご請求をさせていただきます。
報酬のお支払はお振込みにてお願いしております。
17.アンケートのご記入
ご依頼を受けました申告書の作成・提出業務について、当法人からお客様にアンケートを取らせていただきたいと存じますので、ご協力いただければ幸いです。
18.不動産の登記
申告業務は以上ですが、不動産の登記はまた別のこととなります。
登記は
- お客様ご自身で行うか
- 司法書士さんに依頼するか(←お勧めはこちら)
どちらかとなります。
不動産の登記には特に期限はありませんが、遺産分割協議が整い協議書ができあがったら登記申請できますので、早めにやってしまった方が良いです。
19.預貯金の解約、有価証券の解約など
申告期限の前でも後でも、遺産分割協議が終われば、預貯金の解約、有価証券の解約などができます。
20.相続完了
申告が終わり納税も終わり、不動産の登記や預貯金、有価証券の解約が終われば、一連の相続手続き全てが完了したことになります。
全て終わってやっとホッとできますので、申告はもちろん、登記等も早め早めにやってしまうことをお勧めいたします。